サマータイムで日本中の電波時計がゴミになる(かも)という話(mzsm.me) | ガジェット通信 GetNews

ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

サマータイムで日本中の電波時計がゴミになる(かも)という話(mzsm.me)

サマータイムで日本中の電波時計がゴミになる(かも)という話

今回はmzsmさんのブログ『mzsm.me』からご寄稿いただきました。

サマータイムで日本中の電波時計がゴミになる(かも)という話(mzsm.me)

先日、安倍首相が2時間時刻を進めるサマータイムの導入検討を自民党に指示した*1という報道がありました。

*1:「サマータイム 自民が論点整理へ 首相指示 」2018年08月08日 『サイト名』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3390420007082018PP8000/

実は、このサマータイムが導入されると、我々の生活に身近なある物をすべて買い換えなければならなくなるかもしれません。

というか既にタイトルでネタバレしているのですが、そのある物とは、電波時計です。
定期的に自動で時刻を合わせてくれるため、手動で時刻を合わせる手間がなく大変便利な時計なのですが、実は、現行の電波時計では現在検討が進められている2時間のサマータイムには対応できないのです。

電波時計の仕組み

電波時計は、「情報通信研究機構(略称:NICT)」という国の機関が送信している「JJY」という無線局の電波を受信して正確な時刻を取得します。

NICTは「日本標準時」を決定・維持している、まさに日本の時を司っている機関です。
何年かに一度行われる「うるう秒」の挿入のとき、大きなデジタル時計の前でカウントダウンを行う様子がよくニュースで取り上げられていますが、あの場所がNICTの本部です。

「「うるう秒」で元日1秒長く “8時59分60秒”(17/01/01)」2016年12月31日 『YouTube』
https://www.youtube.com/watch?v=EAwcZ5hp9zg

JJYが送信している内容は次のようなものです。

「音で聴くJJY」2015年12月10日 『YouTube』
https://www.youtube.com/watch?v=_7znjIv3gp8

NTTの時報と同じように1秒ごとにプップッとタイミングを刻んで信号を送信していますが、その信号の長さが長かったり短かったりすることに気づいたでしょうか。

これは信号の長さに意味があり、0.8秒の信号は「0」、0.5秒の信号は「1」を表しています(0.2秒の信号はタイミング合わせのためのマーカー)。
これを利用して現在の時刻などのデータを1秒に1ビットずつ、60秒かけて送信しています。

タイムコード

(引用元:標準電波の出し方について 通常時(毎時15分、45分以外)のタイムコード(例))*2

*2:「通常時(毎時15分、45分以外)のタイムコード(例)」『情報通信研究機構』
http://jjy.nict.go.jp/jjy/trans/timecode1.html

電波時計はこのデータを解釈し、正確な現在時刻を取得して時刻合わせをしているのです。

JJYでサマータイムは考慮されている…が。

実は、JJYで送信されるデータは当初からサマータイムへの対応を見越した仕様になっており、「夏時間情報として意味を持たせる」ことを目的とした「将来の拡張性のための予備ビット」が2ビット用意されています。

先ほどの画像で38秒目に送信されるSU1、および40秒目に送信されるSU2がそれです。
この2ビットを「夏時間情報として意味を持たせる」場合は、次のように利用することが規定されています。

標準電波の出し方について

(引用元:標準電波の出し方について)
*3:「標準電波の出し方について」『情報通信研究機構』
http://jjy.nict.go.jp/jjy/trans/index.html

つまり、SU1は「6日以内にサマータイムの開始/終了があるかどうか」、
SU2は「現在サマータイムを実施中かどうか」を示すものなのですが、
サマータイムで何時間ズレるかという情報はどこにも存在しないのです。

サマータイムを考慮してはいたものの、さすがに2時間のサマータイムなんてトンチキなことを言い出すなんて思われてなかったということですね。

(追記: これについて、「JJYの仕様考慮漏れじゃないの?」などと言う人が見受けられましたが、世界中でサマータイムが1時間でないのは人口350人の島と南極の一部地域だけという極めて特殊なケースであり、ただでさえ50ビット程度しか利用できる容量がなく削れる情報は削ると考えるのは当然なのに、そのようなことを言うのは後出しジャンケンでしかありません)

この2ビットはあくまでも「将来の拡張性のための予備ビット」という位置付けではあるものの、現実に現在市販されている電波時計でもSU2ビットの状態を認識し、サマータイムの実施中と判別した場合は1時間進める仕様になっているものが存在しています。

オフィスウィーク

(引用元:Panasonic オフィス時計(録音機能付ベルタイマー)オフィスウィーク TDW73 取扱・施工説明書*4)
*4:「オフィスウィーク TDW73 取扱・施工説明書(PDF)」 『Panasonic』
https://www2.panasonic.biz/ideacontout/2018/01/10/2018011000220077.PDF

標準電波 環境配慮屋外時計

※引用註:画像は電波受信に失敗し手動でサマータイム動作に切り替える場合の記述だが、電波受信に成功してサマータイム動作になった場合も手動切替時と同様に1時間進むと推測できる
(引用元:シチズンTIC 標準電波 環境配慮屋外電波時計 制御部取扱説明書*5)
*5:「標準電波 環境配慮屋外時計」 『CITIZEN』
http://tic.citizen.co.jp/timecontrol/eco-friendly/radiocontrolled-solar-eco-clock.html

1 2次のページ
寄稿の記事一覧をみる

記者:

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。